悪魔のいる教室
あの後タツ兄はかなりハイペースでお酒を飲み続け、2時間も経たない内に泥酔状態だった。

説教混じりに絡んでくるタツ兄がちょっぴり怖くてそして面倒臭くて、私はトイレに行った後さりげなく悪魔の隣へ席を移動した。

タツ兄は悪魔に『学校にいる間ひなたを頼む』とか『ひなたに近づく変な男は殺せ』とか、洒落になんない事まで延々と話してた。

悪魔はタツ兄がこうなる事を予想してか、ほろ酔い程度でセーブしてて、『あぁ』って返事してあげてた。

こんな時だから仕方ないんだろうけど、ちょっぴり嬉しかった。


そして、タツ兄は爆睡。


タツ兄が寝入ってすぐ、『行くぞ』って悪魔は学ランを羽織りながら玄関へ歩いていった。

タツ兄に布団をかけながら『どこに行くの?』って問うと、『もう7時だ』って言われて。

送ってくれんのか、ってちょっぴり感動した。


外に出ると風が少し冷たくて、だけど空気が新鮮に感じた。

夜空の向こうから分厚くどす黒い雲が少しずつ、ゆっくりと、空を侵食し始めていた。
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