それでもわたしは生きている
1週間程経って、ふとキッチンの足下に気が付いた。

床が黒い…


髪の毛だ…


キッチンに掃除機を1週間かけなかった。

私が歩く度、パラパラと髪が抜け落ちてたんだ。

掻き集めると、すごい量の髪が抜け落ちた事がわかる。


抗がん剤が効いてる証拠とはいえ、やはり女としては髪が無くなっていくのはショックだ。



私は気持ちを入れ替え、3週間程の一時退院が終わる直前、ソウタと映画を見に行った。

この頃には異常な頭痛に襲われていたが、薬局で買った頭痛薬でなんとかこらえていた。

でもあんまり効かない…


映画を見て、ファミレスで食事をして、ゲームセンターでプリクラ撮って、とにかく笑って過ごした。


この頃から、いつが最後でもおかしくないと思い始めていた。


そして再び、私はソウタを私の母に頼み、病院へ戻っていった。



「タチバナさん!お帰りなさい!ヒドイ顔色ですね、相当辛かったんじゃないですか?何か困ってることあります?」

「はい…メチャメチャしんどくて…後、凄い頭痛なんですけど…」

「あぁ、頭痛ね!点滴しましょうね、大量に出血してるから、血が少なくなって頭痛がおきるんですよ!」
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