それでもわたしは生きている

いよいよ仕事が始まる。


赤ん坊の世話と両立させるには、私は無知過ぎる。

分厚い育児書をめくりながら、慣れない活字と戦う。

仲の良い友達はまだ未婚だし、育児経験者は先輩ばかりで、あまり気楽に相談できない。

何もかもが未知との遭遇…


それでも、やっとたどり着いた職場は、本当にいい人ばかりで居心地は良かった。



小さな子供はよく熱を出す。

携帯のない時代は、仕事中に保育園から、熱が出たのですぐに迎えに来るようにと電話が入る。

そんな時でも

「かまへんかまへん!はよ行ったれ!」

と、嫌味も言わず、皆で子供を心配してくれる。

仕事も親切に教えてくれる。

本当にありがたい。

すごくすごく感謝しなければいけないことだと思った。

だけど、この頃の私はまだ、人の親切がどんなにありがたいのか、気付いてはいなかった。



ソウタの熱で度々休む分、給料が減る。

そうなると、自分の体調が悪い時は無理してでも出勤しなければ生活がキツイ。

熱が38度出たって、ソウタが元気なら出勤する。


私って…こんなに頑張り屋やったかな?


だけど、気付かぬうちに少しずつ、ストレスは溜まり始めていた。

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