それでもわたしは生きている

傘を拾って、私の手の中にギュッと傘を握らせてくれた。

「ボクちゃん濡れてますよ」

優しく、それだけ言って立ち去って行った。

ソウタの泣き声が響き渡っていた。


私は、なんて弱いんだろう…

ナオキがいなくちゃこんなにも弱いのか…

さっきのお婆さんみたいに、ちゃんとお婆さんになるまで人生を乗り越えていかなきゃいけないのに。

弱過ぎる…


とにかく、このままここにいるわけにはいかない。

もう一度、ソウタと荷物を抱え上げた。

ソウタのお尻が、座り込んでいたせいでビチャビチャだ。


ごめん、ソウタ。


こんな所で嘆いていたって何も変わらない。

前に進むしかないんだ。

ソウタとふたりきり。

だから強くならなきゃ。

根性で、ちゃんと家まで歩き抜いた。




パートで働いていた私に、昔の友達が声をかけてきた。

「今、保険の営業の仕事してんねんけど、ユウカもこうへん?子供がおっても大丈夫!自由きくし、正社員になれんねんで!」

「正社員!?ほんま?子供おってもえぇの!?」

私は飛び付いた。

パートの職場の人達は、社員になれる事を一緒に喜んで送り出してくれた。

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