秘宝-戦い-第Ⅰ幕
アズミの母親の言葉にユカは外へ行きたかったが、仕方なく席についた。
アレンも隣に座る。
スズランがユカの肩からアレンの肩へ飛び移った。
アズミには危機感がないのか?
今この瞬間にも連れさらわれてる人がいるかもしれないのだぞ?
ユカが居心地悪そうに座り直し、食べ物に手をつけた。
この隠れ家は暗い。
それに、窓もない。
心なしか、血の匂いがする。
ユカのような人間界から来た人にとっては居心地が悪そうにして当然だ。
「いつから旅を始めたの?」
おもむろにアズミの母親が聞いた。
「最近です」
「4人で?」
「出会ったので」
淡々と質問に答える、ユカ。
…多分、話して食べ物を食べないつもりなのだろう。
食べ物は少し、カビ臭かった。
「あなた方はどこの村の方?」
ユカは一瞬答えに詰まったが、答えた。
「どこでもいいでしょう?」