秘宝-戦い-第Ⅰ幕
「なによ、ユカ。
まるで…あたしの母親たちが腰抜けみたいじゃない!」
今まで黙っていた、アズミが立ち上がりながら言った。
「腰抜けなんて言ってない」
「あたしにはそう聞こえたわよ!!」
アズミが部屋を出た。
ユカが髪の毛をかき、溜め息をついた。
「アズミは昔から怒りっぽくて短気でねぇ…」
アズミの母親がアズミが出て行ったところを見つめた。
「いえ。私の責任ですから。アズミを見て来ます。みなさんは食事を続けて下さい」
ユカが立ち上がった。
「2人共、行くよ!!」
笑顔で言う、ユカにアレンはハッと気付いた。
ユカはわざとじゃないか?
わざと挑発し、この部屋から出るチャンスを狙ってたんじゃないか?
と思った。
「ユカ。どうして…?」
ユカは手を挙げて、俺の問いかけを止めた。
「聞きたいことは分かってる。あとで4人で話そう。今はアズミ探し」
ユカがそう言って、黙って歩きだした。
2人は従うより他はなかった。