秘宝-戦い-第Ⅰ幕
「どこから来たのか、気になるじゃない」
ユカは質問に正直に答えるつもりなど無かった。
この隠れ家は怪しい。
少し血の匂いもしている。
「気にしないで下さい。私たちはただの旅人ですから」
ユカの態度はハッキリ言って冷たい。
…なにがあるんだ?
ユカの目線の先には壁にかけられた、大量の灰色っぽい弓矢といくつかの剣に向けられていた。
「旅の目的は?」
「安全な村探しです」
3人はユカを見つめた。
旅の目的は秘宝を取り戻すことだろう?
ヒュウガがなにか言おうとしたが、アレンは目で制した。
ここはユカに任せるのがいい。
「ここにいればいいわ」
「いれません。私たちは逃げ隠れせず、正々堂々戦う人々の村を探しているのです」
沈黙が流れた。
ユカはじっとアズミの母親を見つめている。