ありがとう、
白い雲はハート型に見えた。

でも、それは皮肉なもので、いまはもうあとかたもなくちりになっている。


彼女の涙を見たとき、私は少し怖くなった。


私も彼女みたいに拒絶されてしまうのかな・・・?


そう考えると、彼の前を通ることしか私には許されないような気がした。



「志乃ッ、後ろ、後ろ!!」

あわてた様子で私の後ろのほうを指差す小百合。


「え?」

振り返るとそこには・・・。




白い前髪がかすかに風に揺れる、あの人がいた――。
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