ありがとう、
その瞬間、心臓は大きくとくんと脈を打つ。

ああ、やっぱり彼が好きだと、不本意ながら思ってしまう私が居る。


「志乃ちゃん?」


「え?あ、えっと・・・。」

どうしよう。
彼の前でこう言われても、私はNO以外の返事は出せない。


でも、性格悪いとか思われちゃうかな?


「あつ、なんかこの子困ってるっぽいからまた今度にしな?」

彼が初めて口を開いた。

【あつ】と呼ばれたその人の視線が彼にずれる。

< 8 / 20 >

この作品をシェア

pagetop