月と太陽の事件簿3/ツといえばカ
再びあがる笑い声。

なんだこの雰囲気。

あのみなさん、いま殺人事件の会議やってるとこなんですが…。

この状況を作り出した犯人はホワイトボードを興味津々といった様子で眺めていた。

おい、この状況を無視か達郎。

こうなったのはあんたのせいなんだぞ。

「どうしたんだい」

達郎の様子に気付いた警部が声を掛ける。

「この3人が容疑者ですか?」

達郎はボードに貼られた3枚の写真を指した。

「被害者はつい先日上京したばかりでね。都内に友人と呼べるのはこの3人しかいないんだよ」

「被害者との関係は?」

「被害者はバンドを組んでいた。3人はバンドのメンバーで、プロを目指して一緒に上京してきたそうだ」

「なるほど」

達郎はうなずいた。

気付けば先ほどまで笑っていた捜査員たちの顔つきが変わっていた。

達郎の言動を聞き漏らさないようにしているようだった。

「最も疑われているのが彼ですか」

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