魔王さま100分の2

イアリミアほどの観光地でも空港外に出るエルフは物珍しいらしい。

気にしないようにして歩くキーヤとヘナだが、空港から離れ、都市の中心に近づくにつれどんどん注目は集まる。

この時点で、陽が傾くまで待った意味がなくなった。

「いいえ、意味はあります」

小声でキーヤをフォローするヘナ。
自分の黒尽くめの衣装を指でつまんで言う。

「この服装で真夏の昼を歩くのは辛いですから」

キーヤはヘナを見る。
深く被った頭巾でヘナの顔は見えない。

「今でも暑いんじゃないのか?」
「実は、少し」

「他の服はないのか?形はともかく、黒以外のものは?」
「黒が好きなんです」

妙なところで頑固だ。

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