疑似恋愛
子供達も帰ってきて、いつもの賑やかな時間がやってきた。
台所では恭子は夕食の準備をしている。
「ママ~。お腹減った」
匂いにつられて子供達が寄ってくる。
「もう少しだよ。パパ帰ってきたらご飯だからね」
時計を見ると、優斗が帰ってきてもいい時間だ。
すると、玄関のドアが開く音がした。
「パパ~」
子供達も気づき、玄関まで迎えに行く。
恭子は出来上がった夕食を運び、すぐ食べれるように準備した。
優斗が部屋着に着替え、子供達と一緒に台所にやってきた。
「腹減った~」
帰ってくるなり、第一声がこれ。
子供達も椅子に座り、夕食の時間になった。
しかし…
夕食中だというのに、優斗の右手は箸を持ち左手は携帯を持っている。
「ちょっと。ユウ!食べながら携帯しなくてもいいでしょ?」
「…ん~。ちょっと待って。これで終わるから」
何か文字を打ち込んでいる左手は忙しそう。
そんな優斗の姿を横目で見ながら溜め息をついた。
誰にメールしてるんだか…。
一瞬、大福の事を思い出した。
…そうよ。別に逢うわけじゃないし、メールだけならいいんじゃない?
優斗だってしてるんだし…