「 」の法廷
「…………」
横になる。
考えれば考えるほど謎は積もっていくだけだった。
夕ちゃんが消えた?
そんなまさか。
けど、そんなまさかが確実に起こっている。
私は、どうすればいいんだろ?
ぐるぐると難攻不落な迷宮に思考が迷ってもんもんすることしばし。
黒田太陽が出て行って、それからどれぐらいたったんだろう。
ガタリと音が鳴って保健室の扉が開く。
中途半端に閉められていたベットを囲うカーテンの隙間から顔を出すと──
「あ。先客?」
黒田太陽といい、こんな美形学校にいったっけ?
保健室に現れたのは黒のサラサラ髪の男子だった。
「ごめん。起こしちゃった?」
ぶんぶんと首を振る。
声を出す気力はまだ戻ってきていなかった。
彼はほんわか微笑んで「隣いい?」と問いかけてくる。
別に具合が悪かったわけではなかったから──保健室のベットは一つ。
ここは譲ってあげるべきだろう。