幼なじみの執事
「父と同じ仕事を…か。
分かった、絢斗。じゃあ葵衣の世話を頼むな」
「パパ?!」
何で……?
「旦那様、よろしいんですか?」
「頼もしいじゃないか。神影、息子を見守ってやれ」
パパに一礼した絢斗が、あたしに向かって歩いてきた。
胸元に右手を当て、まるで初めてじゃないみたいな丁寧なお辞儀をしてみせた。
「本日よりわたくしは葵衣様の専属執事です。何なりとお申し付け下さい」
昨日までの絢斗はそこに居なかった。
あたしの足元がぐらついて、軽い目眩を起こした。
この日から、絢斗は絢斗じゃなくなった。
そしてあたしを
『葵衣様』としか呼ばなくなった───…