幼なじみの執事
「ぜひ、お願いします」
心にもない言葉が、スッと出てきた。
「じゃ決まりね!葵衣ちゃんの部屋でだよね?
絢斗は来なくていいから!」
「えっ?ですが……」
あたしを心配そうに見た絢斗に、頷きながら言った。
「うん。絢斗はいいよ…」
「はい。では後ほど、お茶をお持ちいたしますね」
正直なところ、千嘉さんと話す絢斗を見るのが嫌だったの。
「さっ!早速、始めよっか」
あたしの部屋に入った千嘉さんは、すぐに家庭教師の体制に入った。
しばらくは黙々と勉強の時間が流れる。
思ったより丁寧に教えてくれて、意外にも分かりやすかった。
「はぁ、葵衣ちゃん少し休憩しない?」
「はい」
千嘉さんがソファーに座り、少し前に絢斗が持ってきてくれたアイスティーを飲んだ。
「お嬢様って羨ましい。こんな広い部屋が、自分の部屋だなんて!落ち着かなくない?」
「別に、そんなことは…」
「だよね〜小さい頃からだから、慣れて当たり前か」
明らかなイヤミがあたしに突き刺さる。