夢からなるキミへ
『えっ!?…いや、別に…』

僕は照れを隠そうとした。

『ねぇ、ケイゴ。お花買っててよ』

そう言ってミズキは、僕の手を引っ張り店内へと招き入れた。

『ケイゴに似合うお花は…っと、これ何かどう?』

ミズキは一輪の淡黄緑色の花を手に取った。

『これは何ていう花なんですか?』

僕は花を指差して尋ねた。

『この花はね、春蘭(シュンラン)って言うの』

『春蘭か…初めて聞いた名前だなぁ』

『春蘭の花言葉は“素直な心”。だからケイゴ、自分の気持ちにはいつまでも素直でいてね』

そう言ってミズキは僕に、春蘭の花を手渡した。

『素直な心か…』

僕は花をじーっと見つめた。

『どうしたのケイゴ?』

ミズキは花を見つめている僕を気にした。

『えっ!?ちょっと花に見とれてたんだ』

僕がそう笑っていうと、ミズキも笑った。

『ケイゴ、その花枯らさないでね』

ミズキはニコッと笑って僕に言った。
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