暗黒ノ世界

 僕が淡々と述べると、雄太は呆れたように言った。

「お前、大袈裟すぎるんだよ。何年後の話だよ」

「でもいつかはなる。少なくとも、僕達が生きている内には」

 そこから僕達は喋らなくなり、気まずい雰囲気が続いたが、やっと目的地の本屋に着いた。

「いらっしゃいませ」

 店員の声が聞こえて来る。雄太は漫画コーナーに行ったが、僕は小説コーナーへと向かった。
 面白いものはないかと眺めていると、新刊コーナーにある、残り一冊の小説に目がいった。

[暗黒ノ世界 〜妄想少年ト異端ノ力〜]

 そう書かれた一冊の小説。作者は…植田悠介。聞いた事がない。新人だろうか。
 買うか買うまいか迷ったが、どうしてもその小説が気になる僕は、それと、いつも読んでいる小説の続きを持って、会計へと向かった。

「1120円になります」

 店員がそう言ったので、僕は財布を開ける。
 所持金1115円。誤算である。流石に5円まけてもらうわけにもいかないので、僕は少し大きな声で、「雄太」と、手招きをしながら呼んだ。
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