泡姫物語
「なぁに友紀?そんなに見られると恥ずかしいって」

「いやぁ、私もふたりと同じようになれたらいいなって思って」

正直、藤田さんのお見合いのことが不安で仕方がなかった。
いっそ場所を突き止めて阻止しに行こうかとまで考えてしまった。

状況を知るふたりが幸せオーラを消そうとおとなしくなる。

「いや、ふたりとも気を遣わないで。そんな仲じゃないじゃん。私もふたりのように頑張るよ」

タルトとミルクティーがなくなり、時計を見るともうすぐ3時になるところだった。

「それじゃあ、そろそろ帰ろうかな」

「うん。今日のタルトと甘い話、ありがとうね」

「じゃあ、俺も帰るわ。友紀、またな」

「修は?もしかして……」

ふたりが顔を見合わせる。

「そっか、お泊りなんだ。いいなぁ」

そんな風に茶化しながらふたりが帰っていった。
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