泡姫物語
「で、肝心の好きな人って誰なの?最近ってことは私の知ってる人だよね?」

「うん。友紀もよく知ってる人。でも……なんか名前を言うの恥ずかしいな。私、もう23なのに中学生の恋愛してるみたいだね」

そう言って愛子は頬を赤らめた。本当に中学の頃に好きな人の話をする少女のようで、たまらなく可愛い。本当に恋してるんだ。

「じゃあ私が言うから正解だったら教えてね」

愛子につられて私の探り方も中学生みたいになってしまう。

「えっと、最近だと……阿部さん、店長、ボーイ、修、あとお客さん?」

私の思いつく限りではこのくらいしかいない。

「あっ……そのなかに、いる」

「えっ?本当に?仕事上の人間関係はちょっと可能性低いと思うから、残るのは……阿部さんと修しかいないけど。ってことは阿部さんだよね?阿部さんかぁ。うん、彼は素敵な人だと思う」

愛子と阿部さん、考えもしなかったけど阿部さんは本当に外見だけじゃなく性格もいいひとだから好きになるのも理解できるな。

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