秘密~「ひみつ」のこと
生理が不順なあたしは、
気がついたら3ヶ月だった。

「ほんとに俺の子って、証拠あるんすか?」

彼は怒ったような冷たい目で、
そう言った。

愛の結晶、
じゃないの?

そう思ってたのは、
あたしだけ?

期待はもろくも、
打ち砕かれた。

一人で悩んでるうちに、
お腹はどんどん大きくなっていく…

あたし、
何悩んでるんだろう?
この子、
産みたいの?

自分で自分が解らない…

でも、もう堕ろすこともできない…

切羽詰まって、夫に打ち明けた。

「子供ができたの…」

夫は一瞬、
凍りついたように動かなくなった。

そうよね、
自分の子でないことは判ってる、
はず…

離婚を覚悟した。

嗚呼、
あたしは夫にも捨てられる。

子供二人抱えて、
これからどうするつもり?

あたし、
いったい何してるの?

気が遠くなりそうだった。







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