迷子のコイ
「どうして・・・ここに?」


あたしは目の前にいる男のコに訊いた。


「サッカー部・・・は?」


時刻は5時になっていて
部活が終わって
ちょうどここを通ったとも考えられる。
きっと、そうだ。

あたしはムリヤリ、
そう思い込もうとしていた。

けれどあたしのその言葉は
無残にも打ち砕かれることになる。
タカくんの、言葉で・・・・・。


「ゴメン。
 ・・・アト、つけてきたんだ」


「・・え・・・だって、部活は?」


「・・・行ってない。
 どーしても早坂と話したくて」



言いながら、タカくんは1歩1歩
あたしに近づいてきた。



( アトをつけてきたって・・・ずっと?
  あたしがナギの家にいる間中、待ってたの? )


笑顔を浮かべて近づいてくる、
あたしはそんなタカくんが
なんだかすごく、怖かった。

あたしはできるだけ
タカくんとの距離を縮めないよう、
早足で歩きだす。


するとタカくんも
歩く速度をあげて、近寄ってきた。
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