迷子のコイ
「・・・何してんだよっ!」


ドンッッと
体の横から衝撃が走る。

その衝撃でタカくんは
あたしの体から離れてくれた。

その衝撃で
地面に倒れこんだタカくんが
顔をあげながら、言った。


「・・・佐伯・・・!」


なぜ佐伯くんがここにいるのかはわからない。
でもたしかに
大きなスポーツバッグを肩にかけたカレが
そこに、いた。

するとカレは
そのスポーツバッグを
乱暴に地面に投げ捨てると
倒れこんでたタカくんの首もとをつかみ
1発殴ると、


「早坂は俺のカノジョだ!!
 近寄るな!!」


そう言って、
あたしとタカくんの間に立った。


タカくんはフラフラと立ち上がると
舌打ちをして言った。


「なんだよ・・・俊哉じゃなかったのかよ。
 ・・・なんだ・・・それともオマエら
 友達同士でフタマタでも
 かけられてんじゃねーの?」


バカにしたように笑いながら、
タカくんは
佐伯くんのうしろに
かくれるような形になっていた
あたしに目をくれると


「・・・たいしたオンナだよ。
 俺もすっかりその気だったしな!」


一瞥して、公園から姿を消した。










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