迷子のコイ
「・・・・・・・・・・・・・・・」


「・・・・・・・・・・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・・・・」



「・・・・・・・・・・・・・・・」



俊哉の家からの帰り道、
あたしは今、
佐伯くんと一緒に歩いてる。


そんなふたりの間に
会話はナイ。



なにがどーしてこーなったのか
自分でもよくわかんないけど、
なぜかあたしは
カレと肩を並べて歩いてた。


自分から
カレと一緒に帰ろうとするなんて
あたし、どーしちゃんだろ。




ずっと沈黙を続けたふたりの均衡を
最初にやぶったのは
カレのほうだった。


「・・・・・めずらし・・・」


カレがボソッと言った言葉が聞き取れずに
あたしは訊き返す。


「いま、なんて言ったの?」


カレは自転車を手で押しながら
ゆっくりと
あたしの歩く速度に
合わせてくれている。

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