彼のとなり、彼女のとなり
「では、もう会うことはないので。さようなら。」
私の用は済んだから帰ろ…。

「ねぇ、どうしても無理?」

私の後に続いて 健吾も歩き出した。

「無理です!」

砂の上はとても歩きづらいけど、少しでも健吾から離れたくて早足で歩く。

「君カワイイよ。」

それでもすぐ私に追い付く彼。

「そうやってまた違う人を誘えばいいじゃないですか!」

「できないよ、そんなこと!」

「きゃっ!!」

強い力で私の腕を掴み、強引に体を健吾の方に向かせた。

「俺のことそんなふうに見てたのか?俺は、君だから思ってることを口にしたんだ。」

「…からかわないで下さい。」

「本気で言ったんだけど。」

だんだん苛々してきて、掴まれた腕を強引に振り 背を向け帰ろうとした。

「じゃ、もう一度だけ写真撮らせて!」

わからないけど…、自然に足が止まった…。
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