鬼畜王子の飼育方法
「最後に聞く。アンタは志季のなに?」
じゃり。
足元の砂の音が、やけに耳に響いて。
私は身の危険を察知した。
「…私は…、志季の、」
言いかけて、チラリと志季のほうを見る。
精一杯の、助けを求めて。
……ん?
志季の口が、大きく動いた。
口パクで、何か伝えようとしている。
無理無理。
私読唇術なんて持ってないから!
だけど、じっくりその唇の動きを見ると──…
“か、の、じ、ょ”
確かに、そう見える。
そして、そう言え!とばかりに指を指した。
────。
いちかばちかだ。
「私は志季の……
彼女です!!」
…………。
静まり返る空気。
彼女たちはあんぐりと口を開けたまま。
あーあ…。
私、知らないよ。
知らないから。