妹なんていらない
千鶴と別れた俺は、ぶらぶらと街を練り歩き、美波が指定した時間まで暇つぶしに勤しんだ。



そして、やっと………






「五時三分前か…」



まあいいだろ。


ニアピンだし。



そう思い、俺は玄関の取っ手に手をかけた。


そして、




パン!パン!パン!




「………何だ、これ」



入るなり、耳が痛くなるような音と細長い紙が俺の頭に乗っかった。


とりあえず鬱陶しい紙を取り払うと、そこには母さん、千鶴、雨宮、ついでに勇人がいた。



「せーの!」



「「ハッピーバースデイ!!」」



「…え?」



母さんのかけ声の後、かけられた言葉。



しばらく呆けていた俺だが、徐々に落ち着いてきた俺の脳が状況を理解する。




………ああ、そうか。


何で忘れてたんだろう。

今日は――



「先輩、お誕生日おめでとうございます!」




………今日は俺の誕生日じゃないか。
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