妹なんていらない
家路について五分、といったところ。



「純一………公園、寄ってっていい?」



近所の公園の前を通ったときだった。


美波は俺の制服の裾をうつむきながらひっぱった。


俺はそれに無言で頷き、公園へと足を進める。




俺たちは公園にあったベンチに座った。


何故か、美波はいつものように距離をとることはなかった。



「………話、したくて」



美波が口を開いた。


顔はやっぱりうつむいたまま。


俺は黙ってその話を聞くことにする。




「あのね………千鶴のことなんだけど」



「……………」



「まだ、学校に来てないんだ…

もう…一週間経つのに………」



「………!」



分かってはいた。


毎日、こっそりとだが美波たちのクラスをのぞいてはいた。


だが、そこに俺が望む人物はいなかった。
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