妹なんていらない
美波の泣き声を聞きながら、俺は空を見た。



夏が終わり、すっかり秋めいた空。



もう日は落ちかけ、赤く染まった空を見て、俺は何故か亡くなった母さんのことを考えていた。




俺は母さんが死んだとき、泣いていたのか?


悲しんでいたのか?



もし、泣いていたのだとしたら、悲しんでいたのだとしたら、何故俺は今まで普通に生きてこられたんだ?




「ひっく…ねぇ…純一…私、何もしてあげられないのかな…?

こんなとき…ひっく…側に…いてあげられないのかな…?

私じゃ…千鶴を支えてあげられないのかな…?」



「…………」



千鶴の言葉にハッとした。




………ああ、そうか。



わかったよ。


どうして俺が、今までのうのうと生きていられたのか。


何で、笑ってられるのか。
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