妹なんていらない
「き、聞いてた…?」



「ああ。

ラブレターってのは分からなかったが、話は聞いてた」




途端に美波の顔が真っ赤になる。



そして、真っ赤な顔と一緒に、明らかな絶望の色が映っていた。




「まあ、あの手紙のことを知ってるわけだから、俺がとってやっても変わんねぇだろ?」




そう言って、俺は梯子を立て直す。



ほんの数分前に二度と優しくしないことを誓ったんだがなぁ…




美波と違い、身長も腕の長さも俺の方が長かったので、案外楽にとれた。




「よいしょ…っと」




はてさて、美波に告った勇気ある人物は誰なんだろうなぁ?




あ、言っとくが、こんなことを思ったから送り主の名前を見たわけじゃないぞ。



たまたま視界に入ったんだ。



そう、たまたまだ。




―結城真一くんへ―



―高橋美波より―







………は?
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