妹なんていらない
その日の夕食後、俺は雨宮の部屋の前にいた。



理由はもちろんこいつの真意を知るため。



別に担任に頼まれたわけじゃない。



ただ、あいつの普段見せない顔を見てしまい、何だか放っておけなかった。





「雨宮ー、入るぞー」



軽くノックをしてから部屋に入る。



雨宮は特に慌てた様子もなく、ベッドに寝そべりながら本を読んでいた。



「なあに?

私を襲いにきたの?」



「そんな勇気は俺にない」



「勇気があるならするんだね」



「……………」




いや、まあちょっと理性が危なくなりかけたのは認めよう。


だってよ、風呂上がりなのか、やたらいいにおいがするし、なんというか色っぽいんだよ。


それに、こいつは素材がいいというか…




「…って、ちがう。

俺はお前に話があってきたんだ」



「わお。

ついに告白?
いやん、ドキドキ」



「………真面目な話だ。

お前の進路のことでな」



雨宮が読んでいた本をパタンと閉じた。
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