妹なんていらない
「だから、さっきのは誤解なんだよ!

あれは雨宮が………」



あの後、逃げるように自分の部屋へ入っていった美波を追いかけ、俺は今ここにいる。


美波が俺の部屋へ来ることは多々あるが、俺が美波の部屋に入ることは滅多にない。


まさか、こんなことで美波の部屋に入ることになるとは思いもしなかった。



「………あのさ、何で私に言い訳するの?」



冷めた眼差しで俺を見る。


この感覚、俺と美波が今ほど親しくなかった頃と似ていた。



「いや、お前が逃げるから…」



「私はあんたたちの邪魔しちゃ悪いなあって思っただけ。

別に、あんたが薫とどうこうしようと私には関係ない、違う?」



「それは………」



たしかに、俺が誰とキスしようが美波には関係ないのかもしれない。


また、俺が誰かを好きになったとしても、関係ないはずだ。



………だけど、




「お前が………な顔をしやがるから………」



「は?

何、聞こえないんだけど」



「お前が悲しそうな顔しやがるから………

だから、誤解だって言いたくて…それで………」



入り口に立つ美波。


呆然とした様子で俺と雨宮を見ていた。



そして、その表情は今まで見たことがないくらいに…


寂しげで、悲しい顔をしていた。
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