妹なんていらない
「私が?悲しい顔?
ばっかじゃないの?

何で私があんたのキスシーンなんてみて悲しがらなきゃいけないのよ。

自意識過剰もいいとこね」



「…………」



容赦ない罵声。


だけど、俺は何も返さなかった。



美波はいつだって強がろうとする。


いつも、強気でいようとする。




だから、美波があんな顔をするなんて、滅多にない。



俺はここ最近、人の涙を、悲しむ姿を見過ぎたんだ。



もう俺は見たくない。



だから、あんな顔、絶対にさせちゃいけなかったんだ。




「………ごめん」



「何で謝るのよ?

私には関係ないって言ってるでしょ?」



「嫌な思いさせて…悪かったな。

本当に………ごめんな」


「………っ!!!」



次の瞬間、美波が俺の胸倉をつかんでいた。



「ふざけないでよ!!!

何で謝んの!!?
私は気にしてないって…
私には関係ないって、そう言ってるのに!!!」



「……………」



「わけわかんない!!

純一が薫とキスしたことなんてどうでもいいのに!!!

私は悲しくなんてないのに!!!

ねえ、何でわかった風なこと言うの!!?

純一に今の私の気持ちなんて分かるの!!?」
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