妹なんていらない
雨宮の部屋へ戻り、床に座る。



何故、俺はあいつに何も言えなかったんだろう。


いつものように軽口で罵られて、それを怒って、そうして………




「美波、怒ってた?」



うつむいて考え込んでると、雨宮から声をかけられた。


俺はぐったりとしながらそれに答える。



「ああ、怒ってはいたが…

なんか、怒ってるというよりは…」



「悲しい」



「………まあ、それに近い感じ」



「かわいい妹の美波ちゃんは大好きなお兄ちゃんを遠くに感じて寂しい、っと」



「それはねぇよ」




はあ、とため息をつく。


ああ、何でこんなに憂鬱なんだろうか。



いや、まあ理由は分かってはいるんだけどさ。




………明日から美波にどう接すればいいんだよ。



「それにしても…高橋くんは怒ってないの?」



「ん?」



「私が原因なんだよ?
私が勝手にキスしたんだよ?」



「…………」



少し前の記憶が蘇る。


こっぱずかしくなって頭をかいた。
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