俺様!何様?執事サマ!?
「……………」
無言で頭をかかえる櫂。
あれだよね、本当に痛いときって「痛い」って言えないんだよね。
「………だ、だいじょぶ?」
「…へ…平気や……」
顔が平気じゃないけど。
だけど落ちついてきたようで、笑顔をうかべる。
「…………帰るわ。俺の頭が割れる前に」
「おう、帰れ」
「ほんま薄情やな爽は!!」
口を尖らせて、自分のネクタイをほどく。
赤い、私の、ネクタイ。
それを、爽の胸に押しつけた。
「…………愛ちゃんのこと、大切にせえへんかったらすぐ取り返しに来たるわ」
その言葉に、爽は笑って
「こいつは最初から俺のもんだ、バカ」
ネクタイを受けとった。