きみ
帰りの電車の中。

君と私は1言も話さなかったね。

お互い、話しかけちゃいけないような気がしていたんだろうね。

ねぇ、君が私の事を探し回っていた事、つい最近知ったんだ。

いろんなお店の人。

学校の友達。

知らない人。

君は本当にバカだよ。

私なんかのために…。


「とゆみ」

「もも」

「心配したんだよ」

「ごめんね」

「大丈夫だよ。それより、矢田とはどうだった?」

「どうだった?って?」

「告られた?」

「はぁ?何言ってんの?」

「じゃ、それは?」

「あぁ。寒くて」

「本当?」

「本当だよ。」

「とゆみにはその気はないかも知れないけど、矢田は、とゆみに本気だよ」

「まさか。そんなことは絶対にない」

「絶対そうだって。じゃなかったら、好きでもない人に学ランなんて貸さないでしょう?しかも2月に」

「でも、学ラン着てると熱いって言ってたよ」

「嘘に決まってんじゃん!もう夕方だよ。いくら矢田だからって寒いに決まってんじゃん!セーターも着てないのに。ワイシャツだけだよ」
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