桃色ドクター



一口で食べるには大きすぎるもろきゅうを、無理して口に入れた瞬間、鞄の中の携帯が鳴った。



最近は携帯が鳴るたびに、胸が張り裂けそうになる。




「もしもし~」



『あ、俺だけど』




期待している甘い声じゃない。



名前を聞かなくてもわかるのは、この世で2人だけ。


瀬名先生と・・・元カレ、雅也。



「またあんた?」


『お前の声が聞きたくて』




恵理は、私の耳に耳をくっつけて、雅也の声を聞こうとする。


恵理は、雅也の顔が好きだったらしく別れたと聞いて最初はがっかりしていた。




「もう終わったの。女いっぱいいるんだからいいでしょ?」



『やっぱ無理。お前じゃないと無理なんだって』




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