桃色ドクター



「どうしました?私に、何か怒ってますか?」



瀬名仁ノ介は、ベッドに横になる私の顔を覗き込んで、少し不安そうな顔をした。



細い顔に、どこを取っても整ったパーツ。


お化粧でもしたら私より女らしいんじゃないかって思うような端正な顔立ち。



「痛いんですね、大丈夫ですから。はい…横向いて」




目を閉じると、さっきまでのわけのわからない瀬名仁ノ介への怒りは消えた。



だって…

とにかく素敵な声。




甘くて、優しくて、とろけちゃいそうな素敵な声。



私は、その声に酔いしれながら、瀬名仁ノ介の治療を受けた。




甘い優しい声を聞いているだけで、腰の痛みも忘れてしまいそうだった。



かすかに聞こえる待合室のクラシックも彼の選曲なのか、彼に似て穏やかだった。




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