桃色ドクター
私は、凶暴なメス犬の目を盗み、子犬を連れ出した。
仁ノ介の手を引っ張って、凍りつくような空気が漂う部屋から走って逃げた。
途中から仁ノ介が私の手を引っ張る形になり、私達は逃亡に成功した。
病院の裏の倉庫のような部屋で、私は仁ノ介の胸に飛び込んだ。
「好き……誰にも負けないもん」
大好きな仁ノ介の胸。
昼ドラの中にいたせいか、私のセリフもいつもよりもドラマチックだ。
仁ノ介は、さっきまでしょんぼりした表情だったのに、にやりと笑い、S男へと豹変した。
「ひひひ… お前、俺に相当惚れてるんだろ?」
そう言って、倉庫の壁に私の体を押し付けて、強引にキスをした。