桃色ドクター
倉庫の中は、高校の体育館の匂いがした。
バスケ部に青春を捧げた高校時代。
初めての彼氏とのキスは体育倉庫だったっけ。
「俺は、ただ自分の気持ちに素直に生きたいだけ。それが罪なのか?」
仁ノ介は、薄いブルーのシャツの首のボタンをふたつ外した。
「かっこいいことが罪なんです」
私は、二つ目のボタンを留めて、仁ノ介の頭を撫でた。
「俺に惚れてるからそう思うだけだよ。香織、本当に嫌な想いをさせて悪かった。ごめんね…… お詫びに、今日俺の家に招待するよ」
家に招待=エッチ
私の中で勝手にそんな想像がふくらんで、ひとりで興奮して声を詰まらせた。
「俺に何を言わせたい?」
「な、何も言わせたくないです」
「嘘つくな。香織、今ちょっと考えただろ?」
私の首筋にしなやかな指を這わせ、仁ノ介は顔を近づける。