桃色ドクター
でも、私が求めているのは雅也のような男ではない。
雅也は私を癒してはくれない。
私の過去の恋愛の傷を忘れさせてくれるほどの男じゃない。
実際、私自身…
雅也をそこまで愛してはいなかった。
20で出逢って、23で別れた最低最悪な金持ち二股男のこと…
忘れさせてくれるのは、誰?
まだ子供だった。
短大を卒業してから会社に入り、世間の荒波にもまれたこともない私が出逢ったのが、
その最悪最低男。
黒のロングコートに、派手なネクタイ…
高級時計と、BMW。
しなやかな運転姿と、強引なキス…
何もかもが完璧に見えた。