桃色ドクター
まだ、私は男を見る目がなかった。
…と、言っても今もまだ男を見る目はない。
雅也だって、私の昔の友達から言わせれば、自分勝手な独身貴族。
結婚には向いていない自由気ままな性格で、その癖に時々かわいいことをして私の心を掴む。
それが、雅也の作戦かも知れない。
昔の最悪男と雅也は、どこか似ている。
金持ちと貧乏という最大の違いはあるが、やっぱりどこかが似ていた。
誰かが私の過去のトラウマを消してくれるとするなら…
それは、あの人しかいない。
だけど、好きになってはいけない人。
結婚しているとわかったとたん、私は自分の本当の気持ちに気付いてしまった。
キライなタイプ…そう思いたくて、無理をしていた。
本当は、あの電話越しの声を聞いた時から…
私の心はピンク色に染まっていた。