桃色ドクター
コツコツコツコツ…
近付いてくる足音に、私の胸は踊り出す。
真っ白な扉のドアノブがゆっくりと回される。
扉を少しだけ開けて、チラっとこちらを覗く。
それは、森の中で木の影からこっそりと様子をうかがう子リスのような…
抱きしめてしまいたくなるくらい、かわいかったんだ。
「どぉですか??大丈夫?また、私の手当、必要ですか?」
こんなお茶目な顔もするんだ。
少し甘えたようなかわいい顔で、ゆっくりと私に近付いてくる。
「もう…治りました…」
近づいてくるかわいい顔を見るのことが怖い。
ときめくこの胸が、怖い。
「嘘つきですね、平野さんは… あなたは、私の手を待ってる」
口説かれているのかと勘違いしてしまうくらい甘い声を出す。
反則だよ。