桃色ドクター
首を少し傾けた瀬名先生は、かわいく右手を差し出した。
「待ってたよ。今日初めての本命チョコ」
私は、否定もせずに持っていたオレンジ色の紙袋をその手の上に乗せた。
「ありがと。さっき走ったでしょ?だめだな・・・無理しちゃいけないって言ったのに」
「だって・・・あのコンビニで待ってたから。会えなかったらどうしようって思ったら、走ってた。でも痛くないから大丈夫・・・です」
はぁはぁと呼吸が乱れたままの私。
走ったせいじゃないことは、私だけが知っている。
これは、目の前にいる瀬名先生のせいです。