桃色ドクター
「じゃあ、結婚やめますか?」
単刀直入に聞く私に、瀬名先生は苦笑いをした。
私はその横顔を見て、やっぱり無理だと思った。
結婚を前にして、ちょっと目移りしたイケメンドクターに、私は騙されているだけ。
「やめようかな」
呟くようにポツリと言った。
だめだよ。
そんなこと言っちゃ。
30歳に近付いた女は、結構揺れやすいんだから。
「俺は・・・君に会うまで幸せじゃなかった」
「私もそう。自分勝手な彼氏に振り回されて・・・」