桃色ドクター
お互いにどこかでわかっていた。
この恋に未来がないこと。
現実的じゃない恋。
現実逃避したかった2人がたまたま出会っただけ。
「俺に何を言わせたい?」
ハンドルに右手を乗せた瀬名先生は、診察室で見せたあの表情をした。
「私のこと・・・好き?」
瀬名先生の目には負ける。
素直になってしまう。
「俺のこと、好き?」
私はコクンと頷いた。
「おりこうさん。やっと素直になったね」
私の頭を撫でる。
どうしてこんなに嬉しいんだろう。
男の人から褒められることに慣れていないから?
「俺も好きです。どうしようもなく・・・ね」