桃色ドクター
「そうか。それは当たり前だ。俺も不倫をするつもりはない。でも、君とこのまま別れるのは辛すぎる」
「今ならまだ引き返せると思いますよ。これは、気の迷い・・・・・・瀬名先生には婚約者がいる。引き返すべきです」
いつもの冷めた口調で言う私に、瀬名先生は言い返す。
「無理だ。もう・・・無理だ。引き返すなんてできない」
私も本当はそう思ってる。
でも言えない。
私もです、と言えば・・・
どうなるのか想像できるから。
このままキスをして、体の関係になり、ズルズルと別れられなくなる。
不倫を嫌っていた私が、不倫の道へと引きずりこまれるんだ。