粛清者-新撰組暗殺録-
「沖田様」
縁側に座っていた総司に向かって、秩が声をかける。
「お薬の時間ですよ」
「…もう薬の時間ですか…苦いから嫌だなあ」
総司は振り向いて、やや力の無い笑みを浮かべる。
…その日総司は、屯所の一室で療養の為に体を休めていた。
寝床の方に戻った総司は、秩に体を支えてもらいながら薬湯を口にする。
「でも今日は随分顔色いいですよ、沖田様」
秩がにこやかに言う。
「秩さんの看病の賜物ですよ…でも」
総司は床に横になった。
「労咳は伝染しますからね…秩さんも僕のそばに入り浸るのは止した方がいい。僕のせいで秩さんに労咳がうつったら何と申し訳すればいいやら…」
「…沖田様っ」
秩は彼の手を握り締める。
「沖田様は私の心配なんかしなくていいんです。今はただ体を治す事だけに専念して下さい。天下の新撰組一番隊組長が病で倒れては武士の名折れ…沖田様が言ってた事でしょ?」
と、その時。
「お嬢さんの言う通りだよ」
部屋に一人の男が入って来た。
新撰組の隊士のようだ。
縁側に座っていた総司に向かって、秩が声をかける。
「お薬の時間ですよ」
「…もう薬の時間ですか…苦いから嫌だなあ」
総司は振り向いて、やや力の無い笑みを浮かべる。
…その日総司は、屯所の一室で療養の為に体を休めていた。
寝床の方に戻った総司は、秩に体を支えてもらいながら薬湯を口にする。
「でも今日は随分顔色いいですよ、沖田様」
秩がにこやかに言う。
「秩さんの看病の賜物ですよ…でも」
総司は床に横になった。
「労咳は伝染しますからね…秩さんも僕のそばに入り浸るのは止した方がいい。僕のせいで秩さんに労咳がうつったら何と申し訳すればいいやら…」
「…沖田様っ」
秩は彼の手を握り締める。
「沖田様は私の心配なんかしなくていいんです。今はただ体を治す事だけに専念して下さい。天下の新撰組一番隊組長が病で倒れては武士の名折れ…沖田様が言ってた事でしょ?」
と、その時。
「お嬢さんの言う通りだよ」
部屋に一人の男が入って来た。
新撰組の隊士のようだ。