粛清者-新撰組暗殺録-
実は秩の予感は当たっていたりする。

…武田観柳斎。

新撰組五番隊組長。

池田屋事件にも参加しているが、彼は甲州流軍学という学問を身につけている、新撰組には珍しい文官型の隊士である。

新撰組の隊士の間では、後輩にしか威張り散らせない『虎の威を狩る狐』として評判が悪く、更には近年勢力を付けてきた勤皇派思想に与し、時勢を見て新撰組脱退を計ろうとしているという。

そして秩が何より彼を気味悪く感じた理由が、武田が男色家であるという事。

男色家とは男性の同性愛者の事。

軍隊や新撰組のような男ばかりの組織や職場には少なからずこういう習癖の人間がいるという。

勿論、惚れたはれたは本人の自由ではあるのだが…。

話を戻す。

実は武田の脱退計画は、既に近藤や土方の耳に入っていた。

勿論新撰組組長であろうと脱退は許されない。

行動に移り次第、武田を抹殺してよいという許可は下りていた。

その許可を受けたのが斎藤と、篠原泰之進という隊士だ。

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