粛清者-新撰組暗殺録-
第八幕
「御陵衛士?」

近藤局長、土方副長の二人が顔を見合わせる。

「はい…それが我々が新しく拝命致す名前です」

そんな言葉と共に恭しく頭を下げたのは新撰組隊士、伊東甲子太郎とその一派であった。

伊東甲子太郎。

元治元年に近藤勇の四天王とまで呼ばれる有能な隊士の一人、藤堂平助の仲立ちによって新撰組に加入した隊士である。

が、その評判はあまりよくない。

先の新撰組総長、山南敬助の逃亡の末の切腹も、実は伊東が裏で糸を引いて土方と山南の仲を不穏なものにしたのではないかという噂さえある。

そして最近でも伊東は、一部の若い隊士達を巧みな話術で丸め込み、己の思想に染めつつある。

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