粛清者-新撰組暗殺録-
…玄関から近藤を入れた池田屋亭主の惣兵衛は咄嗟に大きな声で叫ぼうとする。

「皆様、御用改めでござりますぞ!」

しかしその声が二階の志士に伝わるよりも早く、近藤は背後から拳で惣兵衛を殴り飛ばした!

その場に昏倒した惣兵衛を飛び越えて、近藤は人一人がやっと通れる狭い階段を駆け上がった。

この時池田屋に討ち入ったのは近藤、総司、永倉、藤堂平助、そして近藤の養子の周平だけ。

表出口に十番隊の原田左之助と七番隊の谷三十郎を待機させておいて、二十人以上いると思われる二階へ、たった五人で乗り込んだのである。


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